カラーグラフ 消化器の機能温存・再建手術・10
空腸パウチ間置(JPI)による幽門側切除後の代用胃作製手術
三輪 晃一
1
Koichi MIWA
1
1金沢大学医学部第2外科
pp.715-719
発行日 1999年6月20日
Published Date 1999/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407905285
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
幽門側切除術の再建はBillroth I法が一般的である.しかし,術後5年以上経過した人々へのアンケート調査1)によると,癌再発の不安からは解放されたものの,少なくとも3分の2の人々は胃切除術を原因とする何らかの愁訴に悩まされている.とりわけ,術前に比べての“1回の食事量の減少”が問題で,“食事の内容に気をつける”,“時間をかける”,“間食を増やす”など,患者それぞれの工夫で対処しているのが現状である.
筆者らはこのような“小胃症状”への予防策として,1989年残胃と十二指腸の間に口側は二重腸管によるパウチ,肛門側は順蠕動導管で構成される空腸脚を間置する再建法を考案し,jejunal pouchinterposition(JPI)と名づけ,Billroth I法に代わる再建法としてこれまで用いてきた1〜3).この再建法はパウチで残胃の貯留能を補い,順蠕動導管にダンピングと十二指腸胃逆流を予防する幽門の役目を期待するところに特徴がある(図1).
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.