特集 癌診療に役立つ最新データ
Ⅰ.総論
癌疫学データと外科治療の概況
田島 知郎
1
Tomoo TAJIMA
1
1東海大学医学部外科
pp.6-21
発行日 2002年10月30日
Published Date 2002/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407905007
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わが国における2000年(平成12年)度の総人口は1億2,692万人,年間死亡者数が96万1,653人,うち癌死亡者数が29万5,484人で,癌死で最も多いのは肺癌53,724人,続いて胃癌50,650人,大腸癌35,948人,肝癌33,981人の順で,男女合わせて,1分47秒毎に1人が癌で死亡している.年次推移を見ると,胃癌,了宮癌が減少傾向にあるのに対して,大腸癌,肺癌,乳癌の増加が続き,肝癌が再び増加の兆しをみせ,癌死亡が死亡の第1位になっている年齢層は男性では40〜89歳,女性では30〜84歳である.患者数からの現在の3大癌は男性では胃癌,肺癌,肝癌/大腸癌,女性では乳癌,胃癌,大腸癌で,癌は今後も増え続け,2015年の癌新患者数は男女合計で約90万人に達すると予想されている.これまでの癌検診は効率が悪く,とくに受診率向上とQC(quality of control)とが課題であり,また現在過半数の自治体で施行されている地域癌登録が国全体をカバーする癌登録システムに発展することが望まれる.個々の患者での癌の治療計画を立てるためには臨床病期の把握が基本で,この適切な記載が情報交換を可能にし,ひいては癌医療のレベルを向上させる.
手術療法は最近,機能温存,低侵襲,切除規模縮小の傾向によって,総合的な癌治療戦略の中にほどよく収まる形が熟成されつつあり,また鏡視下手術などの適応が拡大されている.
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