特集 画像で決める癌手術の切除範囲—典型症例総覧
Ⅵ.肝癌
肝細胞癌に対する腹腔鏡補助下肝部分切除術
山中 若樹
1
,
安井 智明
1
,
北山 佳弘
1
,
光信 正夫
1
,
林 勝彦
1
,
芝 卓弥
1
Naoki YAMANAKA
1
1総合病院明和病院外科
pp.220-223
発行日 2001年10月30日
Published Date 2001/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407904657
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はじめに
近年における消化器外科診療のブレイクスルーは低侵襲的治療,患者のQOL重視に向けた鏡視下手術の導入であろう.胆嚢摘出術に始まり,消化器領域では胃・大腸癌の早期病変,食道癌の胸部食道遊離操作,肝癌治療にまで適用されるに及んでいる.
筆者らも1992年初頭に胆嚢摘出術を開始して以来,胆嚢包ドーム切除術1),原発性2)あるいは転移性肝癌3)に対するマイクロ波凝固壊死療法(MCT),また肝切除術4,5)にも適用を拡大してきた.経験を重ねると悪性疾患に対する鏡視下手術の適応は厳格にすべきものであって,時代の趨勢に流されてむやみやたらに適用を拡大すべきものではないことがわかってきたが,この手技を身に付けておくと患者のQOL上大きな利益が得られることも事実である.1992年の報告に始まった鏡視下肝切除6)もそのひとつである.切除範囲の決定につながる画像診断の読み方が特集の目的であるが,鏡視下切除の対象は表在する小結節型腫瘍に限定されているので,本稿では鏡視下(補助下)肝切除術の適応と手技を中心に述べる.
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