外科医に必要な泌尿器科common diseaseの知識・11
急性腎後性腎不全(腎瘻造設)
浅野 友彦
1
Tomohiko ASANO
1
1防衛医科大学校泌尿器科
pp.754-755
発行日 2000年6月20日
Published Date 2000/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407904133
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概念
腎後性腎不全は尿路の閉塞により腎機能が低下した状態である.上部尿路の閉塞によるものと,下部尿路(膀胱,前立腺,尿道)の閉塞によるものがあるが,外科領域においては大腸癌,胃癌などの局所浸潤,リンパ節転移などにより両側尿管が圧迫されて起こることが多い.したがって,今回は外科領域の悪性腫瘍が原因で腎後性腎不全に陥った場合を想定し,その概念,診断,治療について述べることとした.悪性腫瘍が原因である場合には尿管の閉塞は徐々に進行するので,尿管結石の時のような側腹部の激しい痛みが起こることは少なく,軽度の腎部違和感を訴えたり無症状であることが多い.腎機能としては,初期の段階ではまず尿の濃縮力が低下し,低張尿が排泄されるので,尿量は保たれているにもかかわらずクレアチニンは上昇する.その後,閉塞が進行するにつれて尿量は次第に減少し,やがて乏尿,無尿となり尿毒症となる.
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