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特集 輸液:その組成・アクセス・管理
留意すべき合併症—(2)輸液添加製剤に起因する合併症—マンガン蓄積とビタミンB1欠乏症
Complications associated with supplemental solutions during parenteral nutrition: Manganese deposition and vitamin B1 deficiency
岩瀬 和裕
1
,
桧垣 淳
1
,
上池 渉
1
Kazuhiro IWASE
1
1りんくう総合医療センター市立泉佐野病院外科
キーワード:
経静脈栄養
,
マンガン
,
ビタミンB1
Keyword:
経静脈栄養
,
マンガン
,
ビタミンB1
pp.617-619
発行日 2000年5月20日
Published Date 2000/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407904111
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はじめに
現在,完全静脈栄養時には微量元素製剤とビタミン製剤が付加される.微量元素に関しては,わが国でも1992年以降同一内容の2製剤が市販されている.最近では,セレンなど市販製剤に含有されないヒト必須微量元素の必要性も議論されている1).これまで,必須微量元素の補充という観点から研究,製剤の改良が進められてきたが,最近,微量元素製剤長期連用に伴うマンガン(Mn)蓄積症が報告され2,3),過剰投与の問題も提起されている.
ビタミンに関しては,1982年以来7種の静注用総合ビタミン製剤が市販されており,特殊な状況を除いて過剰症,欠乏症などはほとんど発生していない4).しかし,高カロリー輸液時のビタミンB1(Vit B1)の不十分な投与に起因する急激な代謝性アシドーシス発症には注意を要する5,6).現在,高カロリー輸液時にはVit B1投与は必須とされる一方,非高カロリー輸液時には保険医療制度によりビタミン製剤投与は制限されている.消化器外科手術後には非高カロリー輸液時,あるいは高カロリー輸液開始後短期間でのVit B1欠乏性代謝性アシドーシス発生の報告が散見される7).
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