Japanese
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特集 代謝障害と神経疾患・2
ビタミンB1欠乏と神経系障害
Nervous Disorders Due to Thiamine Deficiency
山本 英夫
1
Hideo Yamamoto
1
1東大冲中内科
1Prof. Okinaka's Clinic, University of Tokyo, School of Medicine
pp.35-47
発行日 1956年12月1日
Published Date 1956/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901540
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1.はじめに
抗神経炎性因子と名づけられたビタミンB1(以後B1と省略する)は,多発性神経炎との関連の上に,当初は神経系との特殊性が強調されたのであるが,その後の研究によりB1はゴカルボキシラーゼである事が判り,糖質代謝に占める重要性が確立されるとともに神経系との特別のつながりは余り注意されなくなつた。
然し乍らその後,その発生機構は依然として不明であるが,B1の欠乏が神経系の代謝異常をもたらし,あの種の疾患をおこす事が知られて来た。神経系の様に高度に発達した特殊な生理作用をもつた組織の生化学的過程についての我々の知識は乏しく,これらの疾患がB1欠乏の一次的表現であるか或は二次的のものであるかは未だ議論の残る所である。又実際におこりうる疾患としてもB1だけが単独に欠乏する様な状態がおこりうるかどうか大いに疑問があり,今迄B1欠乏が原因とされている疾患も,B1だけが唯一無二の要因であるとは断定出来ない。
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