特集 薬物療法マニュアル
Ⅳ.術後愁訴と合併症の薬物療法
2.術後疼痛
吉野 茂文
1
,
岡 正朗
1
Shigefumi YOSHINO
1
1山口大学医学部第2外科
pp.259-261
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903846
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術後疼痛の発生機序
術後疼痛は手術による組織損傷とそれに伴う炎症反応によって生じる強い痛みであり,次のような機序で発生する1).すなわち,損傷組織や遊走白血球からプロスタグランディン,ブラディキニンやセロトニンなどの発痛物質が遊離され,この発痛物質が痛覚神経終末(Aδ,C線維)を興奮させ,疼痛を自覚するようになる.また,発痛物質は末梢性感作を生じさせ,軽度の刺激でも疼痛を感じるようになり(アロディニア),さらに痛み刺激が持続的に脊髄後角に入力されると,後角ニューロンの機能的・構造的変化が生じてその興奮性が高まり(中枢性感作),これも術後疼痛の発生に関与するようになる.
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