臨床外科交見室
オランダにおける胃癌に対するリンパ節D1,D2郭清の無作為比較試験の最終結果について
岡崎 誠
1
1兵庫県立西宮病院外科
pp.1328-1329
発行日 1999年10月20日
Published Date 1999/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903747
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最近,以前より注目を浴びていた,オランダにおける胃癌のリンパ節D1郭清とD2郭清の無作為比較試験の最終結果がNewEngland Journal of Medicine誌に発表された.オランダにおける胃癌手術ではD2リンパ節郭清はD1郭清と比較して術後合併症および長期生存率の点からメリットはなく,D2郭清は標準治療にはなりえないという結論であった1,2).このトライアルは1989年から1993年までの期間に996人の患者をエントリーし,そのうちD1郭清グループ380人とD2郭清グループ331人の計711人を比較している.重大な術後合併症の頻度はD1グループ25%,D2グループ43%,術後死の頻度はD1グループ4%,D2グループ10%,入院期間もD1グループ14日,D2グループ16日でD2グループが悪く,5年生存率はD1グループ45%,D2グループ47%と有意差はなかった.これは癌のstage別に比較しても有意差はなかった.この無作為比較試験は胃癌のリンパ節郭清に関して長期にわたる生存率の解明という点では世界で初めての結果であり,したがって非常に権威のある雑誌に掲載されている.また同誌に掲載されているアメリカ人医師のコメントは,「日本の胃癌の治療成績が良いのは,stage migrationのためであり,リンパ節郭清のためではない.
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