特集 縫合・吻合法のバイブル
Ⅲ.部位(術式)別の縫合・吻合法
10.その他
腎の縫合
斉藤 史郎
1
Shiro SAITO
1
1国立病院東京医療センター泌尿器科
pp.357-360
発行日 1998年10月30日
Published Date 1998/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903419
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はじめに
腎の縫合が必要となるケースは2通りの場合が考えられる.ひとつは腎の腫瘤状病変を切除した場合の断端形成,もうひとつは腎外傷時の腎の修復である.外科の領域で必要となりうるのは外傷時の操作がほとんどと思われるので,ここではその場合についてのみ述べることにする.
腎は下部肋骨および腰背筋に囲まれ,さらに脂肪組織や腎筋膜によって保護されているため重篤な損傷を受けにくい臓器である.しかし顕微鏡的血尿のみを認めるものまでを腎外傷に加えるとその発生頻度は高く,腹部外傷2,055例中393例,19.2%を占めている1).日本での腎外傷の原因としては交通事故が最も多く,次いで転落,墜落,打撲,転倒,スポーツ,遊戯,暴力,労災事故であり1),これらの際に腰背部を強打した場合に生じる.
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