外科医のための局所解剖学序説・24
骨盤部の構造 3
佐々木 克典
1
Katsunori SASAKI
1
1信州大学医学部解剖学第1講座
pp.901-910
発行日 1998年7月20日
Published Date 1998/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903236
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当直を始めたころ,前立腺肥大の患者にカテーテルを挿入するため四苦八苦した経験を持たれた方は少なくないはずである.前立腺を恥骨上から摘出したのはBillroth Tで1885年のことであり,その後Bellfield W,McGill F,Fuller Eなどが世紀末盛んに行ったのであるが,この術式を普遍的たらしめたのは英国のFreyer Pであった.テクニックに長けた人であることが論文の端々で窺うことができる.その内容をかいつまんで書き留めてみよう.
患者は75歳の男性で,15年前から前立腺肥大に悩まされ,受診した時はカテーテルを挿入しなければ排尿できなかった.繰り返す血尿,昼夜区別なく30分ごとに行わなければならないカテーテル挿入と,挿入時の焼けるような痛みで顔貌は苦痛に満ちていた.
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