メディカルエッセー 『航跡』・17
カナダ横断30日間講演旅行(4)—モントリオールの休日
木村 健
1
1アイオワ大学医学部外科
pp.74-75
発行日 1998年1月20日
Published Date 1998/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903083
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モントリオール空港に着くと,ガットマン教授夫妻が迎えてくれた.はじめてお目にかかる奥方は世界に名高い精神科の教授と聞いていたので,小むずかしい御仁に違いないと秘かに決め込んでいた.思惑と裏腹に若々しく,魅力いっぱいで,ダイナミックな知性に満ちた女性であったので,対話の間をもたせる埋草に用意しておいたパーティー用のお話には御用もなく,まずはめでたしめでたしであった.
街角の標識や看板は断然フランス語が優位に立っている.耳にはさむ会話もすべてフランス語に聞こえてしまう.カナダは英仏両語を公用語とし,小中学校では両国語を均等に教えることが義務である.しかし,西のバンクーバー,東のハリファックスでは専ら英語のみが使われていた.道路標識などなんとなく英語だけのように思えたので,「英仏両語が公用語といっても,このあたりは英語だけのようですね」とたずねると,相手は「ケベックからはかなり離れてますからね」といってニヤリと笑うのであった.
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