特集 外来診療・小外科マニュアル
Ⅸ.乳幼児の外来外科疾患
123.腸重積症
山崎 洋次
1
Yoji YAMAZAKI
1
1東京慈恵会医科大学外科学講座第1
pp.321-323
発行日 1997年10月30日
Published Date 1997/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903000
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疾患の概念
生後6〜9か月頃の離乳期前後に発生することが多く,新生児期にはきわめて稀であり,1歳以降に発症するものも少ない.腸重積症の大部分を占める原因不明のものは,特発性と呼称されているが,回盲部付近のリンパ組織の増殖,肥大が原因である.病的先進部が存在するもの,つまり器質的原因を有する症例は全体の10%以下である.器質的原因には,Meckel憩室,ポリープ,重複腸管,悪性リンパ腫,異所性膵組織Henoch-Schönlein病による血腫などが挙げられる.このような器質的原因による腸重積症は概して好発年齢(6〜9か月)から逸脱している症例が多いので,3か月未満や逆に3歳以上の腸重積症に遭遇した際には器質的原因の存在を想起する必要がある1).
腸重積症の特殊型として術後腸重積症がある.術後腸重積症は手術操作に起因する腸管の蠕動不全や腸管壁の浮腫に,抗腫瘍薬投与,放射線照射,麻酔の影響,ある種の薬物の影響,中枢神経系の刺激などの諸条件が錯綜して発生するものと考えられている.開腹術後の0.1〜0.3%前後に発生するが,頸部,胸部,腹壁手術後にも発生することが知られている2).
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