メディカルエッセー 『航跡』・13
フェニックスから夢はカナダへ翔ぶ
木村 健
1
1アイオワ大学医学部外科
pp.1170-1171
発行日 1997年9月20日
Published Date 1997/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902842
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1982年5月,第13回米国小児外科学会はアリゾナのフェニックスで開かれた.前の年に世界で初めて成功を収めた先天性広範気管狭窄症の肋軟骨グラフトによる新手術・手技1)が演題に採用され,意気揚々と太平洋を渡ったのが昨日のことのようにありありと思い出されるのである.
帝国ホテルの旧館をデザインしたライト氏の設計による由緒あるビルトモアホテルに着く.年季の入った,どっしりした石造りの建物の周囲は,まるで緑のカーペットを敷きつめたような名門ゴルフコース.US女子オープンゴルフトーナメントが当地で開かれたのもむべなるかなである.ロビイに立つと,目前を世界各国からやって来た小児外科の巨匠たちが往来する.まるで小児外科USオープンの最中に居るような気分である.その中に師と仰ぐフィッシャー教授の姿を見つけた.彼は米国小児外科学会には欠かさず出席していたが,1989年ハーバードの教授を引退し,最近はほとんど会っていない.当時,神戸から米国小児外科学会に演題が採用されると,フィッシャー教授に再会できるのが楽しみであった.
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