特集 術後1週間の患者管理
Ⅰ.術式別:術後1週間の患者管理
3.肺・気管手術
肺全摘術
宇山 正
1
1徳島大学医学部第2外科
pp.50-54
発行日 1995年10月30日
Published Date 1995/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902018
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肺全摘術では術後片肺となるため,肺葉切除とは術後管理に差がある.肺換気能の低下のみならず,肺循環機能の急激な変化が術直後より起こる.高齢者では特に肺血管の伸展性が少なくなり,術後肺高血圧,右心負荷をきたし右心不全となる可能性もあり,注意する必要がある.術後の喀痰貯留による無気肺,肺炎は呼吸不全に移行しやすいので十分に注意する必要がある.肺全摘後には患側胸腔は死腔となる.肺葉切除後の死腔は残存肺の膨張により減少するが,肺全摘術では,通常は術後短期には液体貯留により残存胸腔は満たされることになる.肺全摘術後でドレーンを留置する場合には,持続吸引圧は−5 cm H2O程度の弱い陰圧をかける.肺全摘術後には不整脈も起こりやすい.低酸素血症が原因となっていることも多いが,急激な縦隔変位もその一因となりえる.
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