私の工夫—手術・処置・手順・14
異時性原発性大腸癌切除における有茎小腸パッチによる修復
直江 和彦
1
,
熱田 友義
1
,
矢野 諭
1
Kazuhiko NAOE
1
1小樽協会病院外科
pp.1326
発行日 1995年10月20日
Published Date 1995/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407901999
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本邦における大腸癌症例の激増は周知の事実であり,日本人の食生活の欧米化,診断技術の進歩,本疾患に対する認識の高まりなどが理由とされている.さらに,治療成績の向上ならびに平均寿命の延長にともない,異時性原発性大腸癌症例に遭遇する機会も増加傾向にあり,近年の大腸癌治療における大きな問題となっている.
当科では,異時性原発性大腸癌に対する治療方針として,進行癌はもちろん早期癌においても,①内視鏡的切除にて癌の遺残が疑われた場合,②sm癌である場合,などの症例に対し積極的に腸切除を行う方針としている.しかしながら,初回手術時の広範なリンパ節郭清や縫合不全をはじめとする感染性合併症,さらに多数回におよぶ開腹既往などに起因する剥離困難な腹腔内癒着のために,腸切除すら十分に行えない症例が散見される.われわれは,そのような症例に対して,腫瘍部を切除したあとに近接する小腸を有茎に用いるパッチにて切除部を閉鎖し,良好な結果を得ているので紹介する.
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