特集 施設別/新・悪性腫瘍治療のプロトコール
Ⅸ.乳癌治療のプロトコール
(3)神奈川県立がんセンター外科第2科 同 形成外科
河原 悟
1
,
吉田 明
1
,
青木 文彦
2
Satoru KAWAHARA
1
1神奈川県立がんセンター外科第2科
2神奈川県立がんセンター形成外科
pp.252-258
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407901699
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乳癌診療の技術的進歩に伴い手術法は縮小化され,非定型的乳房切除術がその主座を占めるようになってすでに久しい.さらに,最近では乳癌に対する新しい考え方から乳房を切除しない温存療法が盛んに試みられている.また,乳癌は発病後の早い時期から全身病であるという考えから,全身的治療である薬物療法の併用が不可欠となっている1).そして,かっては癌根治性の追求のために犠牲にされていたQOL(quality of life)は,現在では治療目標の一環として重要である.特に乳癌治療においては,術後,胸部の整容,精神的な問題などQOLに関しては課題が多い.しかし,このような集学的治療の効果を科学的に正確に評価するためには,大規模な前向き(prospective)臨床試験が行われねばならない.乳房温存療法には常に乳癌の多中心性発生と乳管内進展のリスクがつきまとう.実際,臨床上,外科医本来の立場として術後の局所再発をみるのはつらいことである.本稿では,与えられた主題「乳癌治療のプロトコール」について,われわれの臨床的見解を述べたい.
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