病院の広場
子どもの総合医療センター—神奈川県立こども医療センター
入江 英博
1
1神奈川県立こども医療センター
pp.21
発行日 1971年1月1日
Published Date 1971/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204203
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従来の病院は,おもに成人を対象とした内科・外科という2つの診療科を大きな柱として成り立っていた.これらに対し小児を取り扱う小児科は,ときには付属物にすぎない病院も少なくなかった.したがって,病院全体からみれば,子どものためを考えた設備が作られていない.設備のみならず給食もそうである.おとなの大きなドンブリにご飯を入れ,副食も特別に子ども用としては作られていない.調乳から始まり,離乳食・幼児食・おやつなどをしっかりやっている所は少ない.これは,総合病院では小児が全入院患者の10ないし15%くらいしか入院していないので,子どものために特別な設備をしたり人員をふやしたりしないからである.あるいは資金の関係でできないのかもしれない.また看護体勢でもそうで,基準看護の最低人員では子ども1人ひとりに哺乳をしたり,離乳食を与えたり,おむつを頻回に替えたりすることは十分にはできない.すなわち,保育すら満足にできない.まして医療看護などには十分に手が回らない.
ことに近年は子どもの病気を取り扱う範囲が広がり,出生前小児科はともかくとして,新生児・未熟児の内科的疾患はもとより,外科的疾患も医学の進歩とともに積極的に取り扱うようになった.ことに麻酔学の発展とともに心臓外科や一般外科で子どもを取り扱うことが多くなったために,近年小児外科が独立した.
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