特集 施設別/新・悪性腫瘍治療のプロトコール
Ⅷ.甲状腺癌治療のプロトコール
(3)医療法人・野口病院
野口 志郎
1
Shiro NOGUCHI
1
1野口病院
pp.233-239
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407901696
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甲状腺に発生する結節性(腫瘍性)の病変のうち悪性腫瘍は1/3〜1/4である.したがって,甲状腺に結節を見い出したときには,良性であるか悪性であるかの鑑別が重要である.甲状腺の悪性腫瘍の85%以上は,非常に増殖の遅い予後良好な乳頭癌である.つぎに多いのが乳頭癌と同じ甲状腺の濾胞細胞由来の濾胞癌である.これも増殖が非常に遅いものが多く,大部分の症例では予後は非常に良好である.しかし,術後早期に血行性転移を起こす例がまれにある。この2つを合わせて分化癌と呼ぶこともある.これに比較して,傍濾胞細胞由来の髄様癌と未分化癌は生物学的な性質が著しく違うので,術前に少なくともこれらのうちのどれであるかをはっきりさせておく必要がある.未分化癌は非常に増殖が早く,予後はきわめて悪い.甲状腺癌の治療は第一に外科的に完全に切除すること,つぎに,切除が不十分な部分があるかも知れないと予想されるときには放射線外照射を行うことにより完治を目指す.大部分の症例ではそれが可能である.術前照射は行わない.
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