特集 Dos & Don'ts外来の小外科
Ⅴ.肛門部
6.肛門掻痒症
衣笠 昭
1
,
鈴木 和徳
1
1松島病院大腸肛門病センター
pp.156-157
発行日 1993年10月30日
Published Date 1993/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407901341
- 有料閲覧
- 文献概要
肛門掻痒症とは,我慢できず掻かなくてはいられない肛門部のかゆみの総称である.原因はきわめて多岐にわたるため(表)1),症状,治療もそれぞれ異なるが,全身性疾患に起因し,皮膚面に発疹や発赤などの他覚的所見の少ない,いわば特発性掻痒症と,肛門部や女性性器の疾患による二次的掻痒症に分けることができる.
特発性掻痒症のなかで代表的なのは最近増加しつつある糖尿病による掻痒症であるが,肝疾患により発生した黄疸や,尿毒症のために起こる皮膚掻痒の分症としても時に見受けられる.また,加齢や精神障害で発生する掻痒も皮膚の変化は少ない.婦人科的疾患であるエストロジェン分泌異常は,少なく,特発性の範疇に入れるべきかもしれない.
二次的掻痒症の原因で最も多いのは接触性皮膚炎・湿疹である.この中に分泌物より真菌を認めるものもあるので鑑別を要する.
その他,痔核・痔瘻・裂肛などの肛門疾患や,性行為関連疾患,婦人科的疾患,アレルギー性疾患、によるものが日常遭遇するもので,治療に当たっては原因の解明が重要なポイントとなるであろう.
Copyright © 1993, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.