今月の臨床 婦人科内分泌療法─病態の理解と正しい診断に基づく対処・治療のポイント
更年期・老年期
10.外陰掻痒症
岡野 浩哉
1
1飯田橋レディースクリニック
pp.572-577
発行日 2011年4月10日
Published Date 2011/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102652
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1 概 念1~4)
掻痒症は外陰部疾患の最も多い症状であるにもかかわらず,真の有病率・罹患率は不明できちんとした調査も行われていない.また,一般的に教科書といわれる類の書物においても,外陰掻痒症として項目を立てているものは少ない.その理由として『外陰部掻痒症という言葉は,症状・病徴をさすものであって疾患名を示すものではない』ということが挙げられる.一般的には各疾患,例えば「外陰カンジダ症」の症状として掻痒(pruritus/itch)という言葉が使われるにすぎない.本稿でもその点からほかの項目の「疾患」とは同様に解説できないことをはじめにお断りする.
そのため,外陰掻痒症に対応する世界的に一致した定義はない.あえて言えば『掻痒を感ずるskin condition』が該当する.このskin conditionは目に見える皮膚変化として現れる場合もあれば,ほとんど視診上変化がない場合もある.ちなみに『掻痒(itch)』は,1660年にSamuel Hefrenrefferが“an unpleasant sensation provoking the desire to scratch”と最初に定義した.
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