特集 Dos & Don'ts外来の小外科
Ⅲ.胸部
9.女性化乳房症
稲治 英生
1
,
小山 博記
1
1大阪府立成人病センター外科
pp.124-125
発行日 1993年10月30日
Published Date 1993/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407901328
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女性化乳房症とは,男子の乳腺があたかも女性乳房様に肥大したものを指す.年齢的には思春期ならびに50〜60歳代にピークがある.その病因の詳細については他の総説1,2)に譲るが,成因別にみた女性化乳房症の分類2)を表1に示す.
女性化乳房症が臨床上問題となるのは男子乳癌との鑑別においてであるといっても過言ではない.偏心性,皮膚固定,乳頭陥凹などのほか,乳頭異常分泌や嚢胞形成は男子乳癌を強く疑う所見として重要である3).治療方針としては,基礎疾患のあるものはその治療を行うのは当然として,他は一過性のことが多いので軽症例では経過観察のみとすべきである.治療が必要となるのは強い疼痛や心理的負担を訴える場合のみである.その場合でも内科的療法(表2)を優先させるべきである.外科的療法(あるいは生検)が必要となるのは,①内科的療法に反応しない.②癌の可能性がある,のいずれかの場合のみであろう.なお,女性化乳房症が男子乳癌の発生母地となりうるかどうかに関しては,なお議論のあるところであるが,明らかな因果関係は証明されていない.以下,外科的療法について述べる.
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