特集 Dos & Don'ts外来の小外科
外来患者の診方,取り扱い方
田島 知郎
1
1東海大学医学部外科
pp.10-13
発行日 1993年10月30日
Published Date 1993/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407901278
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はじめに
外科系の外来診療では併存する傷病への配慮や,背景として存在している可能性のある病態を見逃さないように注意する必要があるなど,取り扱う範囲が広い上に,かなり深いものも要求される.しかしながら,小外科という括り方をすると,きわめて局所的〜部分的で,しかも生命を脅かさないものだけを扱うというイメージになりがちである.
医療費の高騰が国民経済を破綻させてしまいそうな国では,それを削減する必要性からもdaysurgeryが盛んになり,成人の鼠径ヘルニアはもちろん,最近では腹腔鏡下胆嚢摘除術までもこれに含めてしまうこともある.個々の傷病や術式についての適否は別にして,安全性が確保されるのであれば,生活スタイルをあまり変えずに済む外来のほうが一般的には患者側には都合がよいことが多い.いずれにしても,外来で扱う患者の比率がこれからは上昇することは確かで,重症な例や合併症発症の可能性が高い例がより多くなると予測される.本稿では,診療の一般的な留意事項については理解が十分にあるという前提に立って,入院患者との違いという観点から浮き彫りにされる問題点などについて総括的に考えてみたい.
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