綜説—今月の臨床
直腸癌に対する超低位直腸前方切除術—その適応と治療成績
佐治 重豊
1
,
東 修次
1
,
橋本 俊幸
1
1岐阜大学医学部第2外科
pp.1177-1182
発行日 1993年9月20日
Published Date 1993/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407901246
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Ⅰ.はじめに
下部直腸癌の癌進展様式や解剖学的特徴の解明,手術手技の向上,特に器械吻合器の登場により,従来は腹会陰式直腸切断術,いわゆるMiles手術が標準術式であったRbあるいはRa領域の直腸癌でも,適応を選べば肛門括約筋温存手術が可能となった.その中で,下部直腸を骨盤底筋群付着部近傍で切離し,結腸肛門(管)吻合を施行する超低位直腸前方切除術(以下,超低切)は,癌患者を人工肛門造設に伴う肉体的・精神的負担から解放し,Quality of Life向上に寄与した点で大変注目され,期待されている術式である.しかし,未だ歴史が浅く症例数も少ないことから,超低切の治療成績がMiles手術に比べ差がなく,術後排便機能も通常の低位前方切除術例に比べ遜色がないという確証が得られ,すべての問題が解決された訳ではない.
本稿では,超低切の妥当性を直腸癌進展様式から概説し,筆者らの術式の概略と治療成績,特に術後排便機能障害の評価を中心に私見を含め紹介する.
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