Japanese
English
臨床報告
慢性骨髄炎に対して遊離大網移植法を行った1例
A case report of chronic osteomyelitis treated by free omental transplantation with vascular anastomosis
播磨 成人
1
,
楢崎 暁美
1
,
田中 光二
1
1唐津第一病院外科
キーワード:
慢性骨髄炎
,
遊離大網移植法
,
プロスタグランジンE1
,
血管吻合形成能
,
乳斑
Keyword:
慢性骨髄炎
,
遊離大網移植法
,
プロスタグランジンE1
,
血管吻合形成能
,
乳斑
pp.269-273
発行日 1993年2月20日
Published Date 1993/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407901116
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はじめに
慢性骨髄炎の治療においては,近年次々と開発されている各種抗生物質も腐骨や肉芽組織に阻まれて病変部に届かず,ほとんど無効である.このため,従来より腐骨や肉芽組織を除去する掻爬術が行われるが,その時生じた死腔から再発することが多い.最近ではこの死腔を無菌化するのに閉鎖式持続洗浄法1)が導入されるようになり,一応の成果を上げている.しかし,この方法でも死腔の処置が不十分なため再発の危険性がある.
近年,この死腔の処置にあたり,種々の方法が発表されているが,そのなかでも遊離大網移植法2,3)は,大網の特異的性質として周囲組織との血管吻合形成能を持つこと4,5)および大網乳斑が感染防御の働きを持つこと6)などの性質を利用した合理的方法である.閉鎖式持続洗浄法が不成功に終わった症例に対し,われわれは,本法を実施するとともにプロスタグランジンE1(PGE1)投与を行い,治癒させることができたので,この症例につき若干の考察を加え報告する.
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