特集 外科患者・薬物療法マニュアル
Ⅴ.併存疾患をもつ外科患者の薬物療法
8.心筋梗塞(急性,陳旧性)
笹栗 志朗
1
,
細田 泰之
1
1順天堂大学医学部胸部外科
pp.166-167
発行日 1992年10月30日
Published Date 1992/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900981
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心筋梗塞を合併する患者の一般外科手術において,周術期再梗塞率は2.8〜17.7%と高く,特に心筋梗塞発症後3ヵ月以内の手術においてはその値は27〜37%に上昇し,いったん心筋梗塞が再発すると死亡率は32〜69%に及ぶ.よって急性心筋梗塞を合併する一般外科手術は,緊急手術を除き,その手術時期を梗塞後3ヵ月以降に延期するのが望ましく,緊急の場合においても,心機能,冠動脈病変に対する十分なevaluationと,薬物療法と機械的補助手段による十分なsupportが必要である.陳旧性心筋梗塞を合併する症例では,心機能低下と冠動脈残存病変の有無が問題となる.心不全症状,狭心症状を有する場合はいずれもcar-diac riskは高く,術前より薬物治療による症状のコントロールが必要である.
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