特集 外科患者・薬物療法マニュアル
Ⅲ.術前・術後管理における薬物療法の実際
11.膵炎手術
武田 和憲
1
,
砂村 眞琴
1
,
小針 雅男
1
,
松野 正紀
1
1東北大学医学部第1外科
pp.102-103
発行日 1992年10月30日
Published Date 1992/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900955
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膵炎は急性膵炎と慢性膵炎に分類されるが,薬物療法を必要とするのは主として急性膵炎である.特に,壊死性膵炎は発症早期にhypovolemicshock,腎不全,呼吸不全,DICの合併頻度が高く,また,壊死に陥った膵および膵周囲,後腹膜腔に感染を併発し,膿瘍や敗血症を合併する.重症急性膵炎に対する手術の適応は,①壊死組職における感染の合併②急性膵炎に伴う消化管の穿孔や腹腔内の出血,胆道系の閉塞や感染などの合併症を伴う場合である.重症膵炎に対しては,早期手術は避けられる傾向にあり,基本的な治療は保存的集中治療にある.すなわち,循環・呼吸管理を中心とした集中治療を行い,膵の炎症の進展を抑制するため,膵酵素阻害剤が投与される.また,膵の安静を保つため,絶食とTPN管理が行われ,H2—blockerの投与,感染予防のための抗生物質の投与が行われる.
感染を合併すると手術が行われるが,最近では,感染壊死組織の debridementとして necro—sectomy1)やopen drainage2)が行われる.これらの手術は術後に大血管からの出血や消化管の瘻孔などの合併症を伴うことも多く,術後管理に細心の注意が必要である.
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