特集 外科患者・薬物療法マニュアル
Ⅱ.感染症の薬物療法
10.尿路感染症
大井 好忠
1
1鹿児島大学医学部泌尿器科
pp.72-73
発行日 1992年10月30日
Published Date 1992/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900943
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尿路感染症は,腎と膀胱の細菌感染で代表される.尿管だけの細菌感染はきわめて特殊な病態であり,尿道の細菌感染には性行為感染症が含まれる.尿道留置カテーテル設置による尿道炎は非性病性であり,治療の対象となるが多くは尿道洗浄だけで治癒する.
膀胱炎は管腔臓器の感染であり,生命を脅やかす病態ではない.しかし,腎の感染は全身症状を発現する.腎膿瘍,腎カルブンケルでは基礎疾患として糖尿病が発見される.尿路に基礎疾患として腎結石があり,腎盂腎炎が発症し放置されるか,誤った抗菌薬の投与がされると,腎周囲炎,腎周囲膿瘍,流注膿瘍,敗血症へ進展し不幸な転帰をとることになる.膿腎へ進展すれば腎機能は廃絶する1).そのために正しい抗菌薬の使用が必要となる.
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