感染症の検査法 Ⅱ 感染症各論
[6]尿路感染症
柴 孝也
1
,
加地 正伸
1
1東京慈恵会医科大学第二内科
pp.638-641
発行日 1989年5月15日
Published Date 1989/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204999
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はじめに
尿路感染症(urinary tract infection;UTI)は,腎から尿道に至る尿路臓器に炎症を惹起する細菌の感染症によるものである.本症は臨床の場でもっとも多く認められる細菌感染症の一つであり,感染部位によって腎盂腎炎,膀胱炎などと呼ばれている.
本症は乳幼児期まではその発症に性差が認められないが,成人では尿道の短い女子に好発する.男性では前立腺肥大などのみられる高年齢層で発症率は高くなる.感染経路は大部分が逆行性感染(上行感染)であり,その原因菌としては腸管由来のグラム陰性桿菌が多い.膀胱内に侵入した細菌は膀胱炎を起こすが,中には尿管を経由して腎臓に到着し,腎盂腎炎(腎の感染症)を発症させるものもある.
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