特集 外科患者・薬物療法マニュアル
Ⅱ.感染症の薬物療法
4.外傷・熱傷後感染症
田熊 清継
1
,
奥沢 星二郎
1
,
吉井 宏
1
,
山本 修三
1済生会神奈川県病院
pp.54-58
発行日 1992年10月30日
Published Date 1992/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900937
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薬物療法の意義
ショックや呼吸不全の時期を克服し延命した重症外傷・熱傷患者では,受傷数日後,創感染や呼吸器感染などを発症して敗血症に至り,不幸な転帰をとることもまれではない.このことは,生体の表皮や粘膜の破綻による外界からの病原体の侵入だけでなく,過大な侵襲による全身的感染防御機構の低下にも起因する.
感染症の発生は病原菌の量,毒力と宿主の感染防御とのバランスにより左右される.一般に感染症発症に必要な細菌数は105以上とされるが,また,宿主側では,年齢や栄養状態,糖尿病や肝硬変などの基礎疾患,外傷や熱傷ショックによる臓器障害と細胞性・液性免疫低下,あるいは臓器損傷,挫滅創や嫌気的条件下などの局所状態が感染成立に影響する.
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