特集 外科患者・薬物療法マニュアル
Ⅰ.救急患者のプライマリ・ケアにおける薬物療法
9.めまい
八木 聰明
1
1日本医科大学耳鼻咽喉科
pp.28-29
発行日 1992年10月30日
Published Date 1992/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900925
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めまいに限らず治療の原則は,その原因に対して行うことである.しかし,めまいは単一疾患ではなく1つの症状である.逆にいえば,めまいを来す疾患は数多くあるということになる.しかも,その多くが原因不明で,その病巣局在さえわからないものが少なくない.例えば,末梢(内耳)性めまいの代表であるメニエール病や前庭神経炎,あるいは突発性難聴などは,その原因について有力な推測はあるものもあるが,いまだに不明である.そこで,原因が不明でも病態がわかっていれば,その病態に対応した治療が行える.メニエール病の病態と考えられている内リンパ水腫に対する治療や,突発性難聴の病態と推測されている内耳循環障害に対する治療などがそれである.しかし,その病態の推測さえもできないようなめまい疾患では,対症療法にならざるを得ない.また,救急のめまい患者では,十分な検査を行えないまま,患者の苦痛を取り除くための対症的治療が必要になることもある.
めまいの治療は,原則的には保存的治療である.保存的治療を行う場合,めまいの状態に対応した治療を行わなければならない.すなわち,めまい発作が今起きているのか,あるいは,めまい発作は反復して起こるが現在はその間欠期にあるかなどによって,当然治療の方針,治療の仕方が異なってくる.
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