特集 外科患者・薬物療法マニュアル
Ⅰ.救急患者のプライマリ・ケアにおける薬物療法
4.細菌性ショック
石山 賢
1
,
渡邉 千之
1
1自衛隊中央病院外科
pp.16-17
発行日 1992年10月30日
Published Date 1992/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900920
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細菌性ショック(septic shock, bacterialshock)は,細菌感染症ないし敗血症が原因で起こるショックである.したがって,治療薬剤として抗菌薬剤が必要であることは言をまたないが,それが万能,唯一無二ではない.本病態における循環不全はその成立機序,病像ともに他の原因によるショックと多少異なる面があるので,背景に存在する宿主防御能低下,低栄養,合併病変などに配慮し,また患者の示す多彩な臨床症状発現に介在する要因と考えられる内因性の諸反応に応じた対症的な治療に必要なものを含めた,きめ細かな薬剤選択が要求される.
病像を支配する要因は多様であり,細菌の特異的毒素あるいは非特異的毒素(例えばエンドトキシン(Et))の生体作用である,と単純に割り切ることもできない.血圧下降その他の臨床症状や臓器,細胞障害の発現には,毒素の直接作用を含め,毒素や感染炎症に対する宿主の内因性の反応である代謝亢進・異常,アラキドン酸カスケード,免疫反応,凝固線溶の亢進,cytokine放出など,様々な介在機序が関係することが臨床的あるいは臨床実験的に明らかにされている.しかし,そうした知識の断片にこだわって治療計画を立てないことである.
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