特集 術前・術後管理 '91
H.術後合併症の対策
a.頭頸部術後の合併症
甲状腺クリーゼ
片桐 誠
1
1川崎医科大学内分泌・甲状腺外科
pp.200-201
発行日 1991年10月30日
Published Date 1991/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900617
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■病態■
甲状腺クリーゼ(thyroid crisis, thyroid storm)とは,甲状腺中毒症の存在下でなんらかの誘因により急激に発症する甲状腺中毒症状の極端な増悪で,循環系の非代償性症状が現れたものと定義されている.抗甲状腺剤の使用や医療の向上により最近では稀であるが,ひとたび発症すれば死亡率が高いので早期発見治療が必要である.甲状腺中毒症の存在がわかっていればよいが,高齢者では典型的な臨床症状を示さないことがあるので注意を要する.
早期発見のためには,臨床症状を十分に把握する必要があり,本症を疑ったら直ちに集中治療を開始しなければならない.治療の遅れは患者の死につながり,剖検しても特異的な病理所見は認められないといわれている.
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