特集 術前・術後管理 '91
D.特殊病態患者の周術期管理
甲状腺機能亢進症患者における他部の手術
片桐 誠
1
1川崎医科大学内分泌・甲状腺外科
pp.92-93
発行日 1991年10月30日
Published Date 1991/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900573
- 有料閲覧
- 文献概要
■問題点の解説■
甲状腺機能亢進症では,全身組織の代謝が亢進しadrenergic overactivityの状態にあり,体温上昇,発汗などによる脱水傾向が認められ,組織の酸素消費量も増加している.このような状態で手術を行うと,たとえ手術侵襲が小さくとも,低酸素血症,循環不全,代謝性アシドーシスなどを来しやすく,甲状腺クリーゼに陥ることもあるので適切な前処置が必要である.
術前に抗甲状腺剤でeuthyroidに保たれていれば,手術に対する問題はほとんどなく,抗甲状腺剤の中止による甲状腺中毒症の増悪を予防すればよい.問題となるのは,甲状腺機能亢進症に対して十分なコントロールがされていない患者に対して手術を行うときや,術中あるいは術後にその存在が気づかれた場合である.
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.