特集 術前・術後管理 '91
B.ハイリスク患者の手術
低肺機能患者
山崎 史朗
1
1東邦大学医学部胸部心臓血管外科
pp.46-47
発行日 1991年10月30日
Published Date 1991/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900552
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■術前患者にみられる肺機能障害■
肺機能障害は次の4つに大きく分類できる.①閉塞性肺疾患,②拘束性肺疾患,③肺血管疾患,④換気調節障害である.このうち,一般的な手術を受けようとする患者のリスクとしてよく問題とされる機能障害は,閉塞性肺疾患と拘束性肺疾患の2つである.
閉塞性肺疾患は肺気腫,気管支喘息,慢性気管支炎などで気道の狭窄による気流障害のあるものである.このなかに末梢気道の閉塞を示すいわゆるsmall airway diseaseが含まれる.機能的には1秒量(FEV1.0)と最大換気量(MBC)の減少が共通してみられ,肺気腫,気管支喘息では機能的残気量(FRC)の増加がある.慢性気管支炎と肺気腫の発生には喫煙が重要な要因とされるが,肺気腫は肺の老化とも関係し,ごく一部の肺気腫には遺伝的要素が関与しているとされている.外科手術を受ける患者で肺機能上問題となるのは,多くの場合この閉塞性肺疾患の合併例である.
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