小児外科医の独白・6
鎖肛(国際分類)
角田 昭夫
1
1神奈川県立こども医療センター病院
pp.748-749
発行日 1991年6月20日
Published Date 1991/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900457
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『神の汚れた手』『小児疾患と文学』の第6章「鎖肛」は曾野綾子作品の紹介である.1979年の朝日新聞朝刊に連載された『神の汚れた手』.三浦半島に居を構える産婦人科医を主人公にしたこの小説には,小児病院の場面もあるし,外科的先天奇形がたくさん登場する.ダウン症候群児の高位鎖肛で,その他尿道下裂,唇裂,口蓋裂,心室中隔欠損が合併,さらに親の折檻(虐待)で盲であり,まさに作者の言う「苛酷な状態にある」こどももいる.
ただ第5章までは小児疾患が作品のモチーフだったり,題名に病名が使われたりしたものばかりを取り上げていたが,そうそう種も続かず,作品中に疾患が脇役的に登場するものも使わざるを得なくなったのが第6章であり,その後もこれを踏襲してしまった.
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