Japanese
English
特集 急性腹症の近辺—他科からのアドバイス
急性腹症の心身医学的側面
Psychosomatic aspects of acute abdomen
福永 幹彦
1
,
美根 和典
1
,
村岡 衛
1
,
中川 哲也
1
Mikihiko FUKUNAGA
1
1九州大学医学部心療内科
pp.181-189
発行日 1991年2月20日
Published Date 1991/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900373
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救急外来を受診する腹痛患者のうら,4割近くの患者の退院時診断が非特異的腹痛(non-specificabdominal pain;NSAP)である.これらの患者の存在は,救急外来担当医にとって重い負担となる.消化器外来を受診する腹痛患者のなかで機能障害を中心とする腹痛患者の割合はおよそ50%であり,その腹痛は激痛をももたらしうることを考慮すると,このNSAP中にはかなりの頻度で機能障害患者が含まれる可能性が高い.なかでも過敏性腸症候群・慢性膵炎・胆道ジスキネジーの3疾患は重要であろう.
また術後愁訴症候群の患者も,腹痛を主訴として救急外来を受診することがある.これらの患者は,様々な心理的加重によって症状が修飾されており,機能障害を伴っていることも多い.
そのほか,救急外来を受診する患者のなかには,不安性障害や抑うつ性障害の患者も存在する,これらの患者が腹部症状を訴える場合もあるが,その場合,基礎疾患の診断がなされなければ鑑別診断は困難であろう.
急性腹症の診断は現在なお大きな問題である.心療内科で扱われるこれらの疾患は,緊急手術が必要でない疾患として除外されるべきものであるが,その病態についてはあまり知られていない.鑑別除外すべき疾患をよく理解していることは,救急外来担当医にとり有用であると考えられる.
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