Japanese
English
臨床報告
ヨードアレルギーのBasedow病患者にリチウム投与後手術しえた1例
A case of Graves' disease accompanied with iodine allergy who was operated after lithium preparation
高見 博
1
,
蓮見 直彦
1
,
城戸岡 謙一
1
,
花谷 勇治
1
,
堀江 文俊
1
,
根本 明久
1
,
四方 淳一
1
Hiroshi TAKAMI
1
1帝京大学医学部第1外科
pp.1013-1016
発行日 1990年8月20日
Published Date 1990/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900163
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はじめに
Basedow病の治療は抗甲状腺剤,アイソトープ,手術に大別されるが,抗甲状腺剤の投与で永久寛解が望めない症例,あるいは重篤な合併症のみられる症例には手術の適応も考慮される.一方,炭酸リチウム(リーマス®)は元来躁病状態を特異的に抑制する感情調整剤であるが,甲状腺ホルモンの放出を抑制することから,抗甲状腺剤としても最近注目されている1,2).
最近,著者らは,ヨードをはじめとする種々の薬剤に対し重篤なアレルギー症状を呈し,通常の抗甲状腺剤が使用できなかったBasedow病患者に対し,リチウムを使用し甲状腺機能を正常化せしめた後,手術を行い,順調な術後経過が得られた1例を経験した.リチウムを通常の抗甲状腺剤の代用として,Basedow病を治療した報告は散見されるが1,2),本症例のごとくリチウム単独で甲状腺機能を正常化させた後,手術を施行した報告は稀であるので,報告するとともにリチウムを術前処置として使用する場合の問題点について考察した.
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