書評
—小山恒男,矢作直久(編著)—十二指腸腫瘍の内視鏡治療とマネジメント
山本 博徳
1,2
1自治医大・内科学
2自治医大・消化器内科学
pp.471
発行日 2024年4月20日
Published Date 2024/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407214510
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この度小山恒男先生,矢作直久先生による『十二指腸腫瘍の内視鏡治療とマネジメント』が出版された.非常にタイムリーな,今必要とされる指南書である.25年前にわれわれがESDを始めたのは,低侵襲で臓器温存のできる内視鏡治療の確実性を高め,適応を広げたいと考えたからである.適応を広げると本来リンパ節郭清を必要とする外科手術の適応病変にまで踏み込む可能性も出てくるため,詳細な病理診断によりリンパ節転移のリスクを詳しく知りたく,一括摘除にこだわったという経緯がある.
近年十二指腸腫瘍が脚光を浴びている.十二指腸は,解剖学的に特殊な臓器である.食道,胃,大腸では,標準的な治療として手技も確立したESDではあるが,十二指腸においては極めて技術的にも困難であり,リスクも高い.穿孔等の偶発症を起こすと膵液が後腹膜に漏れることにより,致死的な問題に進展するリスクも高い.一方で,十二指腸の解剖学的な特殊性のため,手術的治療においても高度な技術が要求され,リスク,侵襲の大きな手術となってしまう.
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