手術器具・手術材料—私のこだわり・14
結腸体腔内吻合時の汚染防止スポンジガーゼの開発と有用性
田中 慶太朗
1
,
濱元 宏喜
1
,
庫本 達
1
,
高野 義章
1
,
鈴木 悠介
1
,
李 相雄
1
Keitaro TANAKA
1
1大阪医科薬科大学一般・消化器外科
pp.253-256
発行日 2023年2月20日
Published Date 2023/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407214050
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結腸癌に対する腹腔鏡下手術では,腹腔内で血管処理と腸管の授動操作を行ったのちに,腹部に小切開をおき,体外に病変部腸管を誘導して腸間膜の処理,腸管の切離と吻合を行う体腔外吻合が標準術式である.しかし,体腔外吻合の問題点としては,病変部腸管の体腔外への誘導が困難であったり,切開創の延長を余儀なくされたりすることが挙げられる.さらに,過度な腸間膜の牽引操作によって体腔内で静脈が損傷して大量出血をきたし,開腹を要する術中合併症も経験した.このような体腔外吻合の問題点を改善するため,われわれは2013年に体腔内吻合を導入した.体腔内吻合では体腔外操作を必要としない反面,腹腔内で腸間膜処理を行い,腸管を切離して吻合するため,体腔内の便汁汚染や,癌細胞の散布が懸念される.このような欠点を補う目的で,われわれは便汁が流出しても吸収性に優れ,防水効果も有する汚染防止スポンジシート(Laparoscopic Surgical Sponge Seat:Lap SSS)を開発して使用している.本稿では,Lap SSSの開発経緯と有用性につき紹介する.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2026年2月末まで)。
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