FOCUS
両側側腹部圧迫法による腹部手術後の咳嗽時創痛の軽減効果
下山 勇人
1,2
,
杉山 政則
1,3
,
鈴木 裕
1
,
吉敷 智和
1
,
大木 亜津子
1
,
竹内 弘久
1
,
阪本 良弘
1
,
須並 英二
1
,
阿部 展次
1
Hayato SHIMOYAMA
1,2
1杏林大学医学部消化器・一般外科
2虎の門病院消化器外科
3東京労災病院外科
pp.466-470
発行日 2022年4月20日
Published Date 2022/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407213688
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はじめに
術後急性疼痛管理は,術後早期回復プログラムの概念などから,周術期管理における重要な事項に位置づけられている.術後疼痛は,頻脈,高血圧,高血糖,免疫抑制,局所血流や静脈還流の減少,血小板凝集といった生理学的反応だけでなく,恐怖,不安,うつ症状などの精神的作用を引き起こす1〜4).現在,術後早期回復プログラムのプロトコルでは,区域麻酔や局所麻酔,オピオイドあるいは非オピオイドによる鎮痛薬などにより多角的に鎮痛が行われている5).それでもなお術後疼痛は完全に克服されてはおらず,特に咳嗽時の創痛は高度である.800件の出版物と20,000人を超える患者を対象としたメタ解析では,手術患者の41%が中程度から高度の急性術後疼痛を経験し,24%が不十分な鎮痛であったと報告されている6).われわれは,両側側腹部圧迫法を考案し,本法による腹部術後の咳嗽時の鎮痛効果を報告した7).本稿では,本法についての臨床研究の概要を紹介する.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2025年4月末まで)。
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