増刊号 手術ステップごとに理解する—標準術式アトラス
4 大腸・肛門
直腸脱根治術
山名 哲郎
1
,
森本 幸司
1
,
西尾 梨沙
1
,
中田 拓也
1
,
佐原 力三郎
1
Tetsuro YAMANA
1
1東京山手メディカルセンター大腸肛門科
pp.159-163
発行日 2017年10月22日
Published Date 2017/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407211804
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直腸脱は大腸肛門疾患の診療のなかでも比較的多い疾患であり,外科的治療が原則である.経肛門的術式と経腹的術式のそれぞれに多数の術式が存在するが,根治性の観点からは,経腹的術式の直腸固定術が最も再発率が低い.固定法はメッシュを用いた前方固定(Ripstain法),後方固定(Wells法),腹側固定(Ventral rectopexy)メッシュを用いない縫合固定法など複数の術式が存在し,それぞれのメリットやデメリットがある2,3).最近では,低侵襲の利点を生かした腹腔鏡下直腸固定術の報告も増えてきており4,5).筆者らの施設でも腹腔鏡下縫合直腸固定術を完全直腸脱に対する第一選択の術式としている.
脱出腸管の長さが5 cm以上の完全直腸脱が腹腔鏡下縫合直腸固定術の良い適応である.婦人科疾患や上部消化管疾患の開腹手術の既往歴があっても,腹壁と大網の癒着は腹腔鏡下でも剝離可能なことが多い.高齢者の場合は,アメリカ麻酔学会(ASA)のperformance statusや既往歴・合併症からみて全身麻酔の基準に適していれば,年齢に関係なく本術式を選択している.
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