特集 術前画像診断のポイントと術中解剖認識
Ⅲ.小腸・虫垂・大腸
直腸脱
船橋 公彦
1
,
栗原 聰元
1
,
松田 聡
1
,
小池 淳一
1
,
塩川 洋之
1
,
牛込 充則
1
Kimihiko FUNAHASHI
1
1東邦大学医療センター大森病院一般・消化器外科
pp.158-164
発行日 2013年10月22日
Published Date 2013/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104801
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はじめに
直腸脱の発症機転は,深い直腸膣窩あるいは直腸膀胱窩に腹腔内臓器(小腸,S状結腸,膀胱,子宮など)が嵌入して直腸を押し出す滑脱ヘルニア説と,口側直腸が直腸内に重積する(recto-rectal intussusception)重積説が考えられている.直腸脱では,①直腸重積,②S状結腸の過長,③深い骨盤底の腹膜盲囊部(deep pelvic),④骨盤底筋の弛緩,⑤直腸の仙骨前面の固定不良,⑥sigmoidceleやrectoceleなどの解剖学的異常を伴っており,これらの要因が相互に関与し,症状をきたしているものと考えられる.したがって,直腸脱に対する治療(ここでは術式)の選択においては,術前の検査から直腸脱の発症機転や病態を的確に診断したうえで,年齢や全身状態などの患者背景を考慮しながら決定していくことが重要である.現在,直腸脱に対する外科的治療は,経肛門的と経腹的手術に大別されているが,各術式には利点・欠点があり,患者の病態に合わせて術式を選択していくことが重要である.
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