増刊号 消化器・一般外科医のための—救急・集中治療のすべて
Ⅱ章 外傷外科
総論
perihepatic packingとopen abdominal managementの実際
渡部 広明
1,2
,
下条 芳秀
1,2
,
比良 英司
1,2
Hiroaki WATANABE
1,2
1島根大学医学部Acute Care Surgery講座
2島根大学医学部附属病院高度外傷センター
pp.142-146
発行日 2016年10月22日
Published Date 2016/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407211363
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■はじめに
全国的に外傷外科手術件数は減少しているが,手術でなければ救命できない症例は依然として存在している.特に肝損傷は容易に致死的な出血性ショックとなり,早期の止血を得ることができなければ救命困難となる重篤な外傷の1つである.こうした症例には通常の予定手術に準じたアプローチ手法では対応できず,確実な救命を目指した外傷基本戦略を理解しておく必要がある1).外傷外科特有といえるダメージコントロール戦略(damage control strategy)は重症外傷患者の救命においてきわめて重要な戦略であり1),外傷外科手術を行う外科医はこれを理解し実践できることが求められる.
今回,腹部重症外傷の代表格である重症肝損傷におけるdamage control surgeryとしてのperihepatic packingについて解説し,さらにその後に行われるopen abdominal management(OAM)の実際について解説する.
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