増刊号 消化器・一般外科医のための—救急・集中治療のすべて
Ⅱ章 外傷外科
総論
外傷急性期凝固障害に対するdamage control resuscitationと“damage control strategy”
久志本 成樹
1,2
,
小林 道生
3
,
吉田 良太朗
2
,
横川 裕大
2
Shigeki KUSHIMOTO
1,2
1東北大学大学院医学系研究科外科病態学講座救急医学分野
2東北大学病院救急科・高度救命救急センター
3石巻赤十字病院
pp.133-141
発行日 2016年10月22日
Published Date 2016/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407211362
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■はじめに
外傷患者の急性期死亡原因の約40%は出血によるものであり,大量輸血を要する症例の死亡率は50%を超える1).一方,外傷による死亡の少なくとも10%は防ぐことができた可能性があり,その15%は早期の凝固異常に関連したものである2〜4).
大量出血を伴う外傷患者の治療では,主要な出血源を外科手術などによってコントロールできないことではなく,凝固異常を中心とした生理学的恒常性破綻によって出血を制御できないことにより生命を失うことのほうが多い5,6).出血による死亡の50%以上は凝固線溶破綻によるものであり6,7),急性期凝固異常の制御は重症外傷治療における中心的なテーマである8).
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