増刊号 消化器・一般外科医のための—救急・集中治療のすべて
Ⅱ章 外傷外科
総論
外傷外科の特殊性と専門性
益子 邦洋
1
,
朽方 規喜
1
,
大友 康裕
2
Kunihiro MASHIKO
1
1南多摩病院
2東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科救急災害医学分野
pp.122-127
発行日 2016年10月22日
Published Date 2016/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407211360
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
■はじめに
わが国では2000年以降,外傷診療体制の整備が進められてきた.外傷病院前救護ガイドライン(JPTEC),外傷初期診療ガイドライン(JATEC),ドクターヘリやドクターカーを通じた病院前外傷診療,日本外傷データバンク(外傷登録)などの整備により,重度外傷例が救命の可能性を残しつつ緊急手術などの根本治療に引き継がれるようになった.
瀕死の外傷患者を救命し,後遺症を軽減して早期の社会復帰を達成するためには,受傷直後から病院到着までのプレホスピタルケア,病院到着後の初期診療,これに引き続く緊急手術やカテーテル治療,さらには集中治療に至るすべてのフェーズにおいて,時間軸を考慮した迅速・的確な診療が求められる.すなわち,外傷診療は,患者が病院へ到着してから始まるのではなく,受傷の現場から始まることをまず認識しなければならない.
そこで本稿では,外傷外科とacute care surgery,外傷外科の特殊性,外傷外科の専門性,開腹時のcritical decisionにつき述べる.
Copyright © 2016, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.