特集 老人問題と公衆衛生
老人医療の特殊性
吉川 政己
1,2
Masaki YOSHIKAWA
1,2
1東京警察病院
2東京大学
pp.587-592
発行日 1986年9月15日
Published Date 1986/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207325
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■はじめに
老人医療を包含する医療・保健は,戦後急速な変化を示して発展を続けている.戦後の急速な科学技術の進歩は,社会のあらゆる方面に大きな影響を及ぼすと同様に,とくに生物科学の進歩に伴って,医療・保健に関係の深い医学の分野に著しい進歩をもたらしている.またこのような科学技術の発展は,必然的に思想・文化・日々の生活や人々の常識に大きな変革を及ぼし,このような心理・社会的な面からも医学・医療に大きな影響を及ぼしている.これらの基盤のうえで,わが国でも現実となって進行している社会の高齢化は,医療とくに老人医療のうえに大きな影響を及ぼしている.人口構成,種々の疾患統計の著しい変化で明らかなように,老人医療の医療全般における割合は,1年ごとにより大きなものとなってきている.この論文では,このような老人医療の特殊性1)について,とくに代表的な成人病・老人病の課題に問題をしぼって解説することとしたい.
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