1200字通信・93
因果なことで
板野 聡
1
1寺田病院外科
pp.847
発行日 2016年7月20日
Published Date 2016/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407211233
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- 文献概要
ある週末,家族で近場の温泉宿に行く機会がありました.子供達も皆社会人となっており,それぞれの仕事が終わってから,夕食の時刻までに現地集合する約束でした.私もなんとか間に合って宿に着くことができ,久しぶりに家族勢揃いで美味しい夕食と楽しい時間を過ごすことになりました.
そんな夕食も終わろうとする頃になって,私の携帯電話が鳴りました.画面を見ると病院からですが,「当直医がいるはずだが」と思っても出ないわけにもいかず,報告を聞いたうえで指示を出してその場を収めます.席に戻ると,「大丈夫なの」と声がかかり,「何とか大丈夫そうだから」とその場を繕いますが,「なんでそんなことになっているのか」と,患者さんの顔を思い出しながら頭の中は「仕事モード」に戻り,酔いも醒めはじめていきます.その夜,すぐに帰るわけにもいかず,本命の大浴場への誘いも断り(気が小さいせいか,「こんな気分では温泉に浸かる気にもならない」というのが本音),悶々としつつ部屋のシャワーで汗を流し,早々に布団へ潜り込むことにしたのでした.
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