特集 膵・消化管神経内分泌腫瘍(GEP-NET)のアップデート
扉
pp.387
発行日 2015年4月20日
Published Date 2015/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210698
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“稀少疾患”“ガンもどき”“進行がゆっくり”….神経内分泌腫瘍(NET)を形容する言葉はどれも心もとない.良性とわかれば手術は不要,悪性ならば進行する前に手術は不可欠だが,日常臨床でどちらか迷うケースは多々ある.近年,NETの5年生存率が60〜80%,5年以内の肝転移再発が30〜85%との報告がなされ,“小さければ良性”とか“進行がゆっくり”という表現が必ずしも正しくないことが明らかになりつつある.また,米国におけるNET有病率は大腸癌を除く他の消化器癌のどれよりも多く,わが国のP-NET有病率は米国の3倍近いという報告がある.この事実からすると,もはやNETは稀少疾患とは言いがたい.
WHO分類2010では“転移したら癌”という2004年までの病理学的分類に代わり,細胞の増殖回転数を表すKi-67や核分裂像で表現するようになった.しかし,最も高率に発生する肝転移を予測する指標はいまだ見つかっていない.見た目は良くても本質は性悪な腫瘍,それがNETの正体である.現在,何がわかっていて,何が解明できていないのか.本特集ではそれを解き明かし,明日の外科手術の発展に寄与することを願う.
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