文献抄録
抗生物質耐性Bacteroides fragilis株の出現
宇山 一朗
1
,
石引 久弥
1
1慶応義塾大学医学部外科
pp.1088
発行日 1989年8月20日
Published Date 1989/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210425
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無芽胞偏性嫌気性グラム陰性桿菌Bacteroidesfragilisには近縁菌種群としてB.distasonis, B.ovatus, B.thetaiomicron, B.vulgatusも含まれ,ヒトに病原性を示す重要な嫌気性菌群であり,種々の感染症から分離される.糞便汚染と関連のある複数菌感染症での役割のために腹部外科医から注目されてきている.大腸内ではこれらの嫌気性菌は好気性菌の約1,000倍と多い優勢な菌叢構成細菌である.さらに,酸素の存在する組織内でも生存し,壊死,化膿をもたらす病原性をもっている.
この嫌気性菌群の抗生物質感受性は臨床検査室で測定されることは稀であり,clindamycin(CLDM)を中心とした抗菌剤の組み合わせが使用されている.しかし,CLDM,metronidazole(MNZ),chloramphenicol(CP)耐性株が報告されてきているので,この点を注意する必要がある.
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