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特集 臓器生検の適応と手技
検体の取扱い方—病理から臨床に望むこと
Requirement for sampling procedure
一迫 玲
1
,
田中 昇
2
,
手塚 文明
1
Ryo ICHINOHASAMA
1
,
Noboru TANAKA
2
,
Fumiaki TEZUKA
1
1東北大学医学部附属病院病理部
2相互生物医学研究所
pp.1077-1083
発行日 1989年8月20日
Published Date 1989/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210423
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生検(biopsy)は,病変の診断確定に不可欠なものであり,予後の判定にも重要な情報をもたらし得る.現在も日常の病理診断業務は,ホルマリン固定・パラフィン切片による組織標本と臨床医からの臨床情報にその基盤をおいているが,これだけではなく,新しく開発された種々の手技や機器を駆使して,より細かな診断へとアプローチしていかなければならない分野もでてきている.このような技術としては電子顕微鏡や免疫組織化学が代表的であり,それ以外に,昨今発展の著しい分子生物学的手技がある.
しかし,採取時の検体取扱いが不適切であると,せっかくの貴重な検体について高度な技術も生かしきれなくなるという不幸な状況に陥る.したがって,患者から採取された貴重な検体をより有用に病理診断に役立てるために,個々の検索目的に応じた検体の取扱いが要求される.
本稿の内容は,生検の際の検体の取扱い全般に及ぶが,まず,形態を明確に保持するための基本的な注意事項4つを述べる.その上で,現在の技術レベルで検索可能な手技を紹介し,それらを応用する時の留意点について簡単にまとめておく.また,病理診断依頼書に記載される臨床情報は病理診断に必須のものなので,依頼書の適切な書き方についても触れる.
そのような臨床側の気配りのもとに生検が行われ,これに対して病理側からは正確な病理診断のみならず,臨床上有用な種々の情報が提供できるようになることを期待したい.
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